のと歳時記履歴 2008-2009

のと歳時記

この写真と文章は、2008年4月より毎月1日に北陸中日新聞の能登版に掲載している自身の連載です。その写真と文章を、新聞を見れない地域の方々にも能登の風物詩を知っていただきたい想いから毎月の日記と共にアップすることにしました。

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2009年のと歳時記               

   2009年10月「鵯ーひよどりー」

 

窓の外に二羽の鵯がやってきました。左右を見ては羽繕いをする姿は、鏡に映したように同じ動きです。
一人の生徒が気付いて先生に知らせました。 ピーヨピーヨピルルと鳴く鵯は、教室中からの視線を浴びると違う動きをし始め、
「さっきまで二羽とも本当に同じやってんよ。」という説明をよそに秋の空へと一緒に飛び立ってゆきました。

   2009年9月『スポーツの秋』

山、川、海が揃う能登では、子供時代から公園に行かなくても自然の中で十分に体を動かし遊ぶことができます。起伏が続く登下校の道や皆でキリコをかつぐ夏祭り、海辺や山道を走るマラソン大会にリズムと掛け声で舞うよさこい。自然と体を鍛える場に恵まれたこの地には、スポーツの楽しさを知っている人が多いような気がします。

 

 

   2009年8月 『夏休み』

夏休みの能登は、豊かな緑が頭上から道に影を作り、木々の中からは蝉や鳥達の声が幾つも重なって響いてきます。私が能登に引っ越してきたのは、十七年前の中学の夏休みでした。今も変わらぬ自然の中で、学校では俳句を作って夏を詠みます。ー過ぎ去った 夏を呼ぶよう 蝉時雨ー当時の俳句の中には、その頃の夏が詰まっていました。

   2009年7月 『夏めく』 

春咲く花ばなが終わると、若葉、新樹の光は夏らしい輝きを見せ始めます。 一年中活発な中学生達の肌の色も、日に日に夏めいてきました。寒い季節が長い能登では、蝉や生き物達が謳歌するこの季節、様々な祭が続き山の神様、海の神様を祝い皆で土地を盛り上げます。今日から文月、人も動物も光溢れる活動期の到来です。

 2009年6月 『衣更え』

 梅雨入りの季節、制服は冬服から夏服へ替わります。衣更えは平安時代の宮中行事から始まった日本特有の習慣だそうです。現代は主に6月と10月に行われますが、江戸幕府では年4回の衣更えを制度化していました。四季のある日本ならではの一千年以上続く習慣も、進む地球温暖化や異常気象を背景に容(かたち)を変えゆくのかもしれません。

  2009年5月  『薫風』  

 能登は今、田植えの真っ最中です。連休になると帰郷して畑を手伝う若者達のすがすがしい声が、青葉と土の薫る風にのって届きます。 活気づくこの季節、学校の廊下にも温和な風が吹き渡ります。生徒達が歩いたり笑ったり跳んだりして生まれるその風は、カメラを構える私の横でいろんな音と角度をつけて通り過ぎていきました。

  2009年4月 『うらら日』

中学校のお花見給食の日を訪ねました。満開の桜は上から覗きこむようにして献立に香りを添えます。今年の桜が咲く前に巣立った卒業生、初めてここの桜を味わう新入生。私がのと歳時記を担当させて頂いて早一年、みんなの学年も一つあがりました。これから次の桜の季節がくるまで、歳時記を中学生の姿にのせて届けていきたいと思います。

 

 2009年3月 『卒業』 1994年3月、私は柳田村立柳田中学校を卒業しました。当時アルバムの集合写真に写った同級生達の顔はどこか堅くて、卒業後に見ても思い出すみんなの表情とは少し違っていました。それから15年後の同窓会の日、今度は私が集合写真を撮りました。そこには変わらない笑顔や動き、持ち前の特徴が、思い出すみんなのままに写っていました。

  2009年2月 『聖バレンタインデー』   能登の廃校で錆びた文字「LOVE」を見つけました。世界各地で「愛」を伝える日とされる2月14日。時はローマ帝国時代、兵士の結婚を禁止していた皇帝に対して 秘密で結婚を認め、神の愛を語り続けた人がいました。キリスト教司祭バレンタイン。処刑をも恐れず愛を伝え続けた彼の想いは1700年以上経った今でも錆びることなく残っています。     

 

  2009年1月 『雪うさぎ』  能登の一月。眠るように静かな冬の山には、真っ白な雪の中に点々と動物の足跡だけがついています。雪の上の白い兎を「雪うさぎ」と言いますが、兎は冬眠をせず、雪が積もると普段届かない高さのものが食べられるので、豪雪後に出ることが多いそうです。そんな元気な雪うさぎを待つように、軒下には手作りの雪うさぎが佇んでいました。

■2008年 のと歳時記